オーストリアの在留許可を取得するための要件の1つが、オーストリアの強制又は任意の健康保険、あるいは、それに匹敵するオーストリアで有効な、支払い保証付きの健康保険に加入することです。
わたしは、自身が通う大学が、オーストリアの健康保険 Österreichische Gesundheitskasse(通称ÖGK)に入ることを推奨していたので、ÖGKの学生保険に加入しました。
ÖGKについて
Österreichische Gesundheitskasse(ÖGK)
オーストリア最大の社会健康保険で、オーストリア全土に約150の拠点があり、加入者は、約750万人です。オーストリアの人口が約892万人であることを考えると、ÖGKの加入者がいかに多いかが分かるかと思います。
ÖGKが提供しているサービスには、以下のものがあります。
- 病気の治療
- 予防医療
- 医薬品、治療薬、医療補助器具の給付
- 病気による就業不能時の給付金や歯科給付金、出産給付金等の給付
ÖGKの保険証(e-card)を見せると、診察時には代金を支払う必要はなく、後払いになるようです。
学生保険について
概要を簡単に説明します。
加入要件
大学(Universität)もしくは専門学校(Fach Hochschule)に通っていることが要件になります。専攻を2回以上変更した場合や留年が続いている場合などは、加入できないこともあります。
保険料
2023年9月現在、月額の保険料は66.79ユーロです。
保険の中身
この学生保険では、予防医療、治療、入院、投薬などの医療サービスを受けることができますが、出産手当金や傷病手当金などの現金給付は受けられません。
こちらの保険に加入している場合、配偶者や子供も保険に加入することができます(※)。
※学生保険に加入している方の配偶者として保険に加入しようとする場合、申込み時に当該学生の滞在許可が必要です。したがって、日本人夫婦でオーストリアに行き、一方が学生、一方がその配偶者である場合、学生にあたる方が滞在許可を取得した後に、その配偶者は、ÖGKの保険に加入することができます。
保険料の支払い
わたしは、9月8日に申請に行きました。その際、保険料の支払いについて、以下の説明を受けました。
- 9月分の保険料:66.79ユーロを日割り計算した48.98ユーロを、9月末までに支払うこと。
- 10月以降の保険料:66.79ユーロを、毎月1〜10日の間に支払うこと。
支払い方法については、都度振り込むことも可能ですが、払い忘れ防止の観点から口座引き落としが推奨されています。
申請について
対面での申請のほか、オンラインでの申請も可能です。
ÖGKの担当者の話では、事務所で対面で申請した場合、その日に加入証明書がもらえますが、オンラインで申し込んだ場合には、加入証明書を手に入れるまで数週間程度かかる可能性があるとのことで、急ぎで加入証明書を手に入れたい場合には、対面での申し込みがおすすめとのことでした。
わたしは、対面で申請したため、対面での申請について記載します。
ÖGKの場所及び営業時間
ウィーン市内に、14箇所のカスタマーセンターがあり、これらの事務所で申し込むことができます。
わたしは、おそらく本社と思われるWienerbergの事務所に行きました。Wienerbergの営業時間は、月曜〜金曜の7:00〜16:00です。営業時間が、7:00〜14:30の支店もありますので、営業時間にはお気をつけください。
申請方法(Wienerbergの場合)
申請に行く際に、予約は不要です。
建物に入るとまず、インフォメーションセンターのようなものがあるので、そちらに行き、学生保険を申請したい旨を伝えます。そうすると、どこどこのカウンターに行くように、と言われるので、指定されたカウンター付近に向かいます。カウンター付近に番号発券機がありますので、そちらで番号を発券して、呼ばれるまで待ちます。
Wienerbergでは、学生保険を申し込むためのカウンターはCでした。
申請用紙について、ÖGKの事務所でも入手することができますが、その場合、
- 番号を発券し、番号が呼ばれたらカウンターに行き、申請用紙をもらう
- 近くのカウンターで申請用紙に記入する
- 記入が終わったら、再度番号を発券する
- 番号が呼ばれたら、カウンターに行き、記入した用紙を提出する
と、待ち時間が2度発生してしまいます。
申請用紙は、HPからダウンロードできますので、事前に印刷して記載して持参することをお勧めします。
申請に必要な書類
- 申請用紙
- 身分証明証(パスポート等)
- Meldezettel(オーストリアの住民票)
- 入学証明書
日本から直接オーストリアに来た方は、上記の書類のみで大丈夫です。
EU/EEA 加盟国又はスイスで就学していた場合は、その際の在学期間の証明書、EUの他の国の保険に加入している場合は、その保険のデータが必要になります。
申請用紙に記載する内容
名前や住所といった個人情報や、収入があるか、オーストリア国外に家を有しているかなどを聞かれます。基本的に回答に困ることはないかと思いますが、1点、申請時に不安に思ったことがあったので、共有します。
質問の1つに、海外の強制保険に加入していますか、というものがあり、「はい」と回答する場合は、保険証書を提出してください、と記載されています。
わたしの場合は、日本の会社に所属した状態で渡航していましたので、日本の保険に加入していました。したがって、「はい」という回答になりますが、保険証書は準備していませんでした。
何か必要だったらどうしようかと思いながら、申請用紙を提出する際に、たまたま手元にあった、日本の健康保険証のコピー(当然日本語)をしれっと提出したところ、特段何も聞かれることなく、無事に保険に加入することができました。
日本で保険に加入しているか否かにかかわらず、EU圏内で保険に加入していない場合は、オーストリアで保険に加入することが必要になり、日本で保険に加入しているかやその内容は、オーストリア当局にとっては特段重要ではないため、何も聞かれなかったのかなと思いました。
以上が、オーストリアで健康保険に加入する方法です。冒頭にも記載しましたが、在留許可の申請の際に、オーストリアで有効な保険の加入証が必要なので、必要書類が揃い次第、早めに加入するのがよいと思います。